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ノギスは日本だけじゃなく世界中で工業部品や建築部品など多くの物質を測定する測定器の中でも最も広く普及している測定器のひとつです。
その独特の形状を持つことから、誰もがどこかで一度は見かけたことがあるのではないでしょうか?
見た目的にはやや複雑な構造に見えますが、実際にノギスの使い方・測定方法は実にシンプルであり簡単です。
但しノギス(アナログ式ノギス)には通常の定規と同様の目盛り(本尺目盛)とより精度の高い長さを測定する副尺目盛があり、この目盛りの見方・読み方は覚えておく必要があります。
ノギスの測定原理は、人間の視覚で容易に認識できる事を想定とした「一本の線」の形状を見極める視覚能力を利用した構造となっております。
ノギスを利用する長さの測定では、この「本尺目盛」と「副尺目盛」が1本のラインとなる事で数値を見つけ出すことができるようになっているのですね。
では、ここからはより具体的なノギスの使い方や測定原理や測定値の読み方、そして代表的なノギスの種類などノギスの基礎知識について見ていきましょう。
ノギスは100分の5ミリメートルというとても小さな数値を測定する事が可能な簡易式の精密測定器じゃ。
このノギスの種類を大きく分類すると、アナログ式とデジタル式の2種類に分類することができる。
アナログ式タイプは、更に2種類に分類が可能で古くから使用されており最も普及しておる一般的なノギス(※英語表記はバーニヤキャリパー)と、バーニヤ(副尺)を使用せずにノギスにダイヤル目盛りが装着されているダイヤルノギスの2種類のノギスがある。
アナログ式で0.01mm単位よりも精度の高い測定を行う際には、高度なダイヤルノギスを利用する必要があるのじゃ。
次にデジタル式のデジタルノギスは、近年になり急速に普及しつつあるタイプで、ジョウ(挟む部分)で対象物をはさみ込むだけで自動的にデジタル表示盤に長さが表示される仕組みとなっておる。
デジタル式は、一般のジョウで対象物を挟み込むタイプとデプス(主に深さを測定する)専用のタイプ、そして兼用タイプが製品化されておるが、高度な機能を持つデジタルノギスほど価格も当然ながら高価なものとなっておる。
ノギスの基礎知識を学んだところで実際にノギスを使用した測り方と、測定数値の見方・読み方について確認していくとしよう。
ダイヤルノギスとデジタルノギスは表示された数値を確認する事で測定数値が把握できるため、ここでは最もオーソドックスなバーニヤキャリパーによる長さの測定方法を元に解説する。
これから初めてノギスを利用する初心者の方はここだけ覚えておけばOKじゃよ。
ノギスの見方・読み方・測定手順一覧表 | |
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手順 | 作業内容の解説 |
① | 測定を行う対象物をノギスのジョウの間に設置。この際、ノギスの先端側にあるジョウに測定面のを固定する。 |
② | 中央側のジョウを対象物方向へ少しずつスライドさせる。対象物に触れた時点で止め、ノギス先端部のジョウとスライドさせたジョウに隙間がないか確認。(測定対象物は外しても良いが外す際に目盛りが動く可能性がある為注意する) |
③ | 本尺の数値を読み取る。本尺では1mm単位測定を行う為、1mm未満の部分は切り捨てる。(※例 5.7cmと5.8cmの間を示している場合は5.7cmで長さを記録する。どちら側に目盛りが寄っているかなどは一切考慮せず少ない数値を採用すると覚えておけば良い) |
④ | 続いて副尺目盛りの1~9までの数値を確認。この1~9までの数値を示す目盛りの中から、どれかひとつが本尺の目盛りと一直線になっている数値がある。この数値を適用する。(※例 副尺の6を示す目盛りが本尺の目盛りとぴったりと重なっている場合、適用となる数値は6となる。副尺は0.1mm単位=0.01cmの長さを示すが、この際本尺側の目盛りの数値は一切関係ない為、ただ直線になる部分を見つければ良い。) |
⑤ | 本尺と副尺の数値が確定したら③と④の数値を合算する。(※例 今回の例の場合は③の本尺が5.7で確定、④の副尺が0.06cmで確定している為、5.7+0.06=5.76が合算数値となる) |
⑥ | 合計で求められた数値がノギスの測定数値となる |
初めてノギスを使用してものを測定する際に、測定数値の読み方で迷う部分はおそらく④の部分じゃ。
手順表の例でも解説しておるが、副尺の数値を探す際にぴったりと重なる直線ラインを探して数値を確定するのじゃが、この際に本尺の数値を見ると混乱してしまうことになる。
本尺の数値は③で既に確定してり、④では直線を探す事だけに専念すれば良いという訳じゃな。
デジタルノギスは価格帯の幅が非常に大きく高額な製品も多いが、デジタルノギスで測定を行う場合は事前に何度が測定練習を行なっておくと良いじゃろう。
技術的な使い方のポイント、コツとしては対象物に対しノギスを垂直、水平に当てて計測を行うことじゃ。
力加減は言葉では説明しにくい部分もあるが、寸法が解っている適当なマスターで事前に何度か練習していくことで感覚を掴んでいくことができる。
☆素人にはデジタルノギスでの測定は無理。
☆熟練者以外は正確な数値は測定できない。
そんな話を耳にすることもあるかもしれんが、そんな事はまずないのでしっかり練習を続けることじゃ。
毎日練習を続ければ1ヶ月~2ヶ月程度で測定の感覚を掴むことは十分可能。
※うまく測定できない場合は毎日練習してとにかく慣れること
回数をこなしていけば力加減も解り誤差も徐々に小さくなるじゃろうから日々ノギスに触れて継続していくことが大切なのじゃな。
デジタルノギスがここまで急速に普及した原因には精密度の向上と製品の価格帯が安価になってきたことがその背景にあることは間違いないのぉ。
デジタル製品としての利便性・簡易性はやはり重要じゃが、近年のデジタルノギスの性能は、繰り返しの測定でもほぼ同様の数値を示す再現性の高さも見逃せない。
精密度に関しても2000円~3000円程度の価格帯の製品で0.02mmクラスの精度誤差であれば問題は見当たらないものじゃ。
実際は、個人のDIY工事や仕事などでの部品やパイプ類の測定、自動車やバイク・自転車などの整備程度の使用であればこれ以上の精度を必要とする場面が少ない事も事実じゃろう。
尚、低価格帯の製品であっても近年のデジタルノギスは精度の高い製品も多く出まわるようになってきておる。
但し、メーカーごとに癖のような感覚の違いを感じるケースもある為、製品を選ぶ際は自分の好みのメーカーを定めておくと良いかもしれんのぉ。
ノギスに限る話ではないが測定機器類のデジタル化が今後更に加速していくことじゃろう。