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地震が発生した際に速報などで表示されるマグニチュードとは対象となる地震が持つ「エネルギー量の大きさ」を示す指標値じゃ。
対して日本では馴染みの深い震度は全国各地の震度計によって測定された地域ごとの「地震の揺れの大きさ」を示す指標値となっておる。
マグニチュードと震度の違いはこのようにエネルギー量を示す指標値と揺れの大きさを示す指標値であることから事実上は全く異なる指標値であることが解るのぉ。
但し、揺れが大きな地震はやはり地震のエネルギー量が大きく、揺れの小さな地震は地震が持つエネルギー量も小さくなることから双方の指標値は関連性を持つ指標値であることも確かじゃ。
日本のマグニチュード測定では気象庁マグニチュード(Mj)と呼ばれる、気象庁が発表するマグニチュード指標値が用いられておる。
マグニチュードを測定する地震計は大きなエネルギーが測定可能な強震計を含め民間企業が設置する地震計も含めると全国で10000以上の地震計が設置されておる。
これらの地震系で計算された気象庁マグニチュードは約3分程度で計算がなされ地震発生後5分以内にはマグニチュードを公開することができるため、時間的に短時間で情報を公開できるという大きなメリットを備えておる。
しかし、気象庁マグニチュードによる測定ではマグニチュード8以上に該当する大規模の地震が発生した際には「マグニチュードの飽和」と呼ばれる地震計測定の頭打ちが起こり正確な数値を計算できない恐れがある。
事実、2011年3月11日14時46分に東日本で発生した東北地方太平洋沖地震(関東大震災)では、マグニチュードの飽和が発生している事に気づくことが出来ず、3月11日当日中に気象庁マグニチュード速報値として「マグニチュード7.9」と公表した経緯がある。
その後、気象庁は規模の大きさや各地の地震計を再度計算し直し暫定数値として気象庁マグニチュード8.4と公表。
しかしその後、海外の地震計によって測定されたモーメントマグニチュード(Mw)では「マグニチュード9.0」と公表された為、気象庁はモーメントマグニチュードを追加で発表し混乱を招いたのじゃ。
尚、世界では東北地方太平洋沖地震(関東大震災)のマグニチュードは9.0として認識されておる。
モーメントマグニチュードとはカリフォルニア工科大学の名誉教授であり東京大学理学博士の地質学者である「金森博雄博士」が考案したマグニチュード測定方法じゃ。
金森博士は、地震と断層運動のモーメント(Mo)の関連性を加味して計算するとマグニチュードの飽和が起こる大規模地震の測定も可能となる事を考案しモーメントマグニチュードは現在、地震エネルギーの指標値として最も広く認識される指標値となっておる。
モーメントマグニチュードの計算式は以下のとおりじゃ。
※Mw = (log Mo-9.1) / 1.5 (Mo = μ×D×S)
★S=震源断層面積 ★D=平均変位量 ★μ=剛性率を示す
尚、モーメントマグニチュード9.0を記録した東北地方太平洋沖地震(関東大震災)の地震エネルギーは気象庁の観測史上最大規模の地震として位置づけられておる。
以下に日本国内で発生した大規模の地震のモーメントマグニチュードを一覧でまとめておく。(Mj)と表記されておるものは気象庁マグニチュード指標値じゃ。
【日本国内の大規模地震のマグニチュード一覧表】 | |||
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番号 | マグニ チュード | 年度 | 地震の種類 |
① | 9.0 | 2011年 | 東北地方太平洋沖地震(関東大震災) |
② | 8.5 | 1896年 | 明治三陸地震 |
③ | 8.4 | 1933年 | 昭和三陸地震 |
④ | 8.3 | 2003年 | 十勝沖地震 |
⑤ | 8.2 | 1952年 | 十勝沖地震(Mj) |
⑥ | 8.2 | 1994年 | 北海道東方沖地震(Mj) |
⑦ | 8.1 | 1946年 | 南海地震(Mj) |
⑧ | 8.0 | 1911年 | 喜界島地震(Mj) |
⑨ | 8.0 | 1891年 | 濃尾地震 |
⑩ | 7.9 | 1944年 | 東南海地震(Mj) |
⑪ | 7.9 | 1923年 | 関東地震(関東大震災) |
⑫ | 7.5 | 1964年 | 新潟地震 |
⑬ | 6.9 | 1995年 | 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) |
⑭ | 6.7 | 2007年 | 能登半島地震 |
震度の測定方法は全国各地の計測震度計で記録された数値を元に計算されており、現在は全て機械的に計測震度計で記録された数値のみを利用し震度が発表される仕組みとなっておる。
尚、我々が普段目にする地震速報などの数値は震度0~震度7までの10段階の震度で公開されておる。(1996年より震度5・6が加わりそれぞれ強と弱の表記がある)
この震度の10段階の分類は気象庁震度階級と呼ばれており計測震度によって以下のように震度が設定されておるのでチェックしておくと良いじゃろう。
【震度階級と計測震度一覧表~気象庁参照~】 | ||
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震度 階級 | 計測 震度 | 人の体感及び行動 |
0 | 0.0~0.4 | 人は揺れを感じないが地震計には揺れが記録される。 |
1 | 0.5~1.4 | 屋内で静かにしている人の中には揺れをわずかに感じる人がいる。 |
2 | 1.5~2.4 | 屋内で静かにしている人の大半が揺れを感じる。眠っている人の中には目を覚ます人もいる。 |
3 | 2.5~3.4 | 屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。歩いている人の中には揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が目を覚ます。 |
4 | 3.5~4.4 | ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが揺れを感じる。眠っている人のほとんどが目を覚ます。 |
5弱 | 4.5~4.9 | 大半の人が恐怖を覚え物につかまりたいと感じる。 |
5強 | 5.0~5.4 | 大半の人が物につかまらないと歩くことが難しいなど行動に支障を感じる。 |
6弱 | 5.5~5.9 | 立っていることが困難になる。 |
6強 | 6.0~6.4 | 立っていることができず、地面を這ってしか動くことができない。揺れにほんろうされ動くこともできず飛ばされることもある。 |
7 | 6.5以上 |
尚、震度計は全国各地に設置されており、現在気象庁、防災科学技術研究所、地方公共団体などが管理しておる震度計を合計すると約4400箇所もの場所に震度計が設置されておるのじゃよ。