握力とは、主に握る力を示す「筋力」に該当する指標を測定する為のスポーツテスト種目の一種じゃ。
握力の測定は怪我の発生も少なく、高齢者であっても容易に測定が可能である事から年代別・性別の筋力状態の統計を記録する上で重要な指標のひとつとされておる。
また、握力の測定は医療現場においても筋力の指標として用いられている他、神経系疾患の有無の確認やリハビリ課程の進行状況の確認においても重要な確認項目のひとつとなっておる。
握力の測定を行う握力測定器は大きくアナログ式とデジタル式の2種類の測定器に分類されておる。
以前はアナログ式の握力計が広く普及しておったが、近年はデジタル式の安価な製品が多く販売されるようになった為、デジタル式握力計が多く普及するようになっておる。
※写真:ハンドグリップメーター
尚、握力測定器はアナログ式でもデジタル式でもどちらの測定器が良いと言うことはないのじゃが、正しい数値を測定するためにしっかりと手順通りに測定を行うことが求められることになる。
但し、あまりにも握力が強すぎる場合はアナログ式の場合は針が振り切れてしまったり、デジタル式でも測定可能範囲を超えると測定ができないため、対応する握力計を用いる必要があるのぉ。
ではここでまず握力測定器を使用する際の測定手順について確認しておくとしよう。
握力の測定手順表 | |
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手順 | 握力の測定手順表 |
① | 握力計の針が自分の体の外側に向くようにセットし握力計を軽く握る。 |
② | ①の状態で人差し指の第2関節(指先から2つ目の関節)の角度が90度になるように握力計のグリップ幅を調整する。 |
③ | 直立姿勢で腕を降ろし握力計を体側(腰の横)にセットする。 |
④ | 膝を極度に曲げたり肘関節を強く曲げるなどせずに③の姿勢に近い状態をキープしたまま全力で握力計を握る。 |
⑤ | 握力測定器の目盛り(デジタルの場合は数値)を計測する。 |
⑥ | 測定は30秒程度のインターバルを挟んで左右2回ずつ測定を行い右2回・左2回の計4回の記録の平均数値を握力の数値として採用する。尚、平均値の小数点以下は四捨五入して計算する。 |
握力測定を行う際の最大のチェックポイントは、前述した握力の測定手順表の②番の項目にあるグリップ幅の調整をしっかり行うことじゃ。
グリップ幅の合わせ方は、人差し指の第2関節が直角になるようにグリップ幅を調整していくことが重要じゃ。
学校で行われる体力測定などでは複数の人が連続で計測を行なっていくため、前の人のグリップ幅のまま測定を行なっているケースも多く見かけるが、特に第2関節より指先側に直角ラインが来てしまった場合は、とても握りづらく数値が大きく減少する事を把握しておく必要があるのぉ。
また握力測定で採用される数値は左右2回ずつ、4回の測定結果を合算し4で割り平均数値を採用する点もしっかり覚えておく必要があるのぉ。
握力の男女別の平均は、第二次成長期盛りの男子中学生で30kg~40kg、ある程度肉体も成熟してくる男子高校生で40kg~44kg程度、そして成人男性の場合では45kg~50kg程度が平均ラインとなっておる。
また女性の場合は、中学・高校で24kg~28kg程度、成人女性の場合は27kg~32kg程度が平均的な標準値となっており、筋力の指標である握力数値は男性と女性では男性の方が全年代において高い平均値となっておる。
尚、握力は前述したように測定器の形状が握るタイプの測定器となっているため、測定時の手順や握力測定器の設定によって数値に変動が出やすくなっておる。
一般的に指が長い人よりも指が短い人のほうが握りづらい等の条件があるため、手の大きさや指の長さなども多少は影響する可能性がある点を把握しておくことが大切じゃ。
握力の世界記録として一般的に広く認識されておるギネス記録に登録されておる握力数値は何と「192kg」となっておる。
このギネス記録保持者はスェーデン出身で農家を営むマグナス・サミュエルソン氏じゃ。
彼は農家に産まれ、農業を手伝いながら体が鍛えられていったが、やがて身長200cm、体重150kgの巨漢を活かし、参加したアームレスリング大会などを総ナメにするようになった。
その後、1995年に世界一の怪力を競うワールド・ストロンゲストマンに出場する事になり1998年に同大会で初優勝を遂げた経歴をもっておるのじゃよ。