【測定方法なび♪】

放射能・放射線の測定方法・基準値

測定方法なび♪では放射能汚染・放射線量の測定方法、食品に含まれる放射性セシウムの基準値について入門者向きにわかりやすく解説しております。

◆放射能・放射線の測定方法・基準値の解説(もくじ)

目次

◆放射能・放射線・放射線同位体とは?

放射能とは、原子の中心をなす原子核が崩壊する際に発生する放射線を出す能力のことを指しておる。

放射線とは、原子核が安定する中性子数及び陽子数になるために放射性元素が崩壊する際に放出される粒子線や電磁波のことを指しておる。

原子核の構造は陽子と中性子によって構成されておるが、原子の中には同じ元素でありながら異なる質量数を保持する同位体が存在しておる。

この異なる質量を示す同位体は安定した質量数(中性子と陽子の数)になろうと移行するが、この際に放出される粒子線が放射線であり、放射線を放出する同位体が放射線同位体と言う訳じゃ。

◆放射線は大きく2種類に分類される

放射能汚染の影響を調べる際は地域や食品などに含まれる放射線量の測定を行うことになる。

尚、放射線は大きく分類すると「粒子線」と「電磁波」の2種類の放射線に分類することが可能じゃ。

放射線の分類
分類放射線の種類
粒子線アルファ線(α線)
ベータ線(β線)
陽子線
宇宙線
中性子線
電磁波ガンマ線(γ線)
エックス線(x線)

◆放射能測定器・放射線測定器の種類

放射線量は肉眼で検出することはできないため、放射線の測定では専用の放射線検出器を使用して放射線量を測定する事になる。

但し、前述したように放射線には幾つかの種類が存在しておるため、測定を行いたい種別に適した放射線測定器を選択することが大切じゃ。

2011年に発生した福島原発事故の直後からは、全国各地で放射能汚染の影響を個人が測定するケースも増えており地表の表面汚染を測定するガイガーカウンターが全国的に品切れ状態となったこともあるのじゃよ。

放射線測定器・検出器の種類と特徴
番号種類測定可能である放射線の種類
ガイガーカウンターベータ線・ガンマ線・X線
電離箱アルファ線・ベータ線・ガンマ線・X線
シンチレーション検出器アルファ線・ガンマ線・X線
GM計数管ベータ線・ガンマ線・X線
半導体検出器アルファ線・ガンマ線・X線

◆ガイガーカウンターの測定方法・測定の仕組み

ガイガーカウンターは放射線測定器内部にガイガー=ミュラー計数管とよばれるセンサーを内蔵した放射能検出器じゃ。

ガイガー=ミュラー計数管の名前は1928年にドイツのハンス・ガイガーとヴァルター・ミュラーが計数管を開発したことから来ており、この2人の開発者の名前がそのまま名称として残っておるのじゃ。

ガイガーカウンターは、円筒形の管の中心に電極棒を添えアルゴンなどの不活性ガスを封入し高電圧をかけることで測定を行う仕組みとなっておる。

この管内に放射能が入ると菅の中にある不活性ガスが電離し電子が陽極である中心の電極棒方向へ飛びかいパルス電流を発する。

ガイガーカウンターではこのパルス電流の通電回数を計測することで放射線汚染量を測定しておるのじゃよ。

◆食品に含まれる放射性セシウムの暫定基準値一覧表

2011年の関東大震災時に発生した福島第一原発のメルトダウン問題によって放射線汚染の影響が懸念された際に、福島近郊エリアの農作物に対する不安はとても大きなものとなった。

そこで、当時の政府は食品の被ばく線量の基準値として放射性セシウムの暫定規制値を発表しておる。

その当時に発表された放射性セシウムの暫定基準値は、飲料水や牛乳・乳製品の場合は200ベクレル/kg以下であること。

そして一般的な穀類や野菜類・肉・魚類の暫定基準値は500ベクレル/kg以下という基準であったのじゃ。

尚、当時は原発事故が起きた為に、放射線被ばく線量の規制値を高くすることに対して「何のための基準値指標であったのか?」と当然のように大きな反発を受ける事となった。

しかし現在は厚生労働省が新たに掲げた放射性セシウムの暫定基準値が発表され、現実的な基準値の範囲が示されるようになっておる。

以下は、現在の放射性セシウムの基準値一覧じゃ。

食品に含まれる放射性セシウムの暫定基準値一覧表
番号種類測定可能である放射線の種類
水・飲料水10ベクレル/kg以下
粉ミルクなど乳幼児食品50ベクレル/kg以下
牛乳・低脂肪乳・乳飲料・加工乳50ベクレル/kg以下
一般食品100ベクレル/kg以下

尚、チーズや乳酸菌飲料、ヨーグルトなどの乳製品を含む製品の基準値は上記表③の牛乳・乳飲料ではなく④の一般食品に分類されることとなっておるのじゃよ。